構想

Arch Joint Vision 2015 ~市民とまちをつなぐ架け橋~

1.はじめに

 公益社団法人栗東青年会議所はこれまで39年間にわたり「明るい豊かなまちの創造」を実現するため、それぞれの時代に即した形でビジョンや構想が策定し、それを基に様々な運動が展開されてきました。青年会議所は会員の資質向上を最大限に考え、年度制で運営されています。単年度制は、会員に多くの学びの機会を与えてくれる一方で、複数年に亘って継続される事業が展開されにくくその結果、市民に認知される事業の開催が難しくなるデメリットも持ち合わせています。この「不連続の連続」を継続していく為に、運動の方向性をわかりやすくする目的でビジョンや構想を掲げてきました。


 2002年に発表された「ペガサス2010構想~オンリーワンのまちづくり」によって、2010年までの運動の方向性が指し示され「生涯暮らしたいまち(栗東)の創造」が栗東青年会議所の永遠の目的であると提唱されました。その後を受け2010年に、2015年までの5年間の運動の根幹となるCircle Link構想が作成されました。作成当時には、まちづくりに関する特定の分野に特化した他団体が存在し、改めて「青年会議所の存在意義」が問われる状況や、メンバー数の減少などの内包的な課題を抱えておりそれらを解決する為に新たな方向性を示してくれたのでした。市民の目線に立ったニーズ探し、限定されない多くの世代間での交流、これまでの組織の枠を越えて次代を担う地域の若手を育成する方法。これらを礎にした青年会議所だけで進めるではない、地域の様々な諸団体と協働していく「循環型まちづくり」という、これまでにない柔軟な発想をもたらしてくれました。

 

 2012年7月6日、栗東青年会議所は公益社団法人として新たな一歩を歩み始めました。我々はより一層、このまちに対しての責任を持たなくてはならない中、Circle Link構想は、「市民ニーズの追究」という、新たな視点を我々にもたらしてくれました。そして、より多くの市民の方と手を取り合った運動を展開していく事で生まれる循環の意識はこの5年間の運動の中でたくさんの出会いを与えてくれました。

 

 この流れを決して絶やすことがあってはありません。これまで40年間の運動の中で得ることができた多くの人たちとの出会いは「生涯暮らしたいまち(栗東)」を創造する為の貴重な財産なのです。私たちはこの40年間の運動を礎に市民が活き活きとまちづくりに取り組める新しいステージを作っていかなくてはいけません。

その為には、まずは私たち自身が市民を牽引する地域リーダーとしての知識と品格を備え、このまちづくり運動に取り組んでいかなくてはいけません。まずは我々が活き活きと活動に取り組むことでのまちに活性を与えることができるのです。「生涯暮らしたいまち(栗東)」という私たちの「夢」の実現を信じて取り組みましょう。

2.生涯暮らしたいまち(栗東)の姿とは

 「生涯暮らしたいまち(栗東)の創造」。私たち栗東青年会議所は、これまでもこの不変の目的を達成する為に過去39年にわたり先代達によってこのまちで運動を展開してきました。まちづくりへの思いは一貫したものではありましたが、各年代にはそれぞれの時代の背景に応じた問題が存在しており、不変の目的を追求する為に探究を怠らず常にその運動を進化させてきたからこそ、今も地域に根ざしたまちづくり団体として栗東青年会議所が存在しているのです。

 

 私たち青年世代がまだ「子ども」と呼ばれていた頃、自らが暮らす地域には顔馴染みの人たちばかりでした。周囲の大人たちが、時にやさしく、時に厳しく、まるで我が子のように優しいまなざしでいつも私たちを見守ってくれたコミュニティが存在していました。2015年を迎えた現在、私の記憶の中にある子どもの頃の風景は、今はすっかり見かける事がありません。私たちの生活は大変便利になりました。身の回りの必要なほとんどの物は近辺を回れば手に入れることが出来ますし、インターネットの普及により部屋を出ることなく様々な情報が手に入る環境が整っています。一昔前は近くに住む者同士が協力しまちをつくり、力を合わせて維持管理してきた公共部も今では行政が対応してくれます。時には煩わしいとさえ感じる近所付き合いをせずとも、それぞれが個として生きていく事が可能な世の中です。

 

 しかし、私たちの生活は大変便利になりましたが、果たして本当の意味で「豊か」になったのでしょうか。地域で協力し、助け合い、問題を解決することが当然だった時代、確かに煩わしさはあるもののどこか安心感を持って暮らすことが出来たのではないでしょうか。現在、まちは教育、福祉、防災、防犯、経済、環境等多くの問題を抱えています。その多くはコミュニティの繋がりが強まることにより何らかの解決が導き出されるものばかりではないでしょうか。人とひとが繋がるコミュニティの創造が今必要なのです。そして、今現在私たちが目指す「生涯くらしたいまち」の姿はそのように人々が繋がり、特別に意識をせずともごく自然にまちづくりに参画するそのようなまちなのです。

 

 しかし、誤解してはいけないのは単に昔に戻ろうと言っているのではありません。今、まち(栗東)にはこのまちで生まれ育った人、他所から移り住んできた人、世代によっても多様な価値観を持った人たちが住んでいます。既に便利になり過ぎた生活に慣れた人たちを、まちづくりに巻き込んでいく事は至難の業です。しかし、これまで長年まちづくり運動に真摯に取り組んできた歴史を持ち、信頼を得ている栗東青年会議所だからこそできるはずです。このまちに住まう人に訴えかけ、団体、個人、行政、企業の垣根を越えて架け橋となり多くの市民が活き活きとまちづくりに取り組む生涯暮らしたい栗東(まち)の実現を。

 

 その為にも、今、私たちが改めて自覚を持たなくてはいけません。私たちが地域のリーダーとしてまちを牽引していくための知識と品格を持ち併せる人材となり、自身の思いを自らの行動により実現していく魅力を発信することが人とひとを繋ぐ架け橋となる為に必要なのです。

【Arch Joint Visionのイメージ】

栗東青年会議所がまちづくりの魅力を伝え、市民が主体となってまちづくりに取り組む社会 =生涯暮らしたいまち(栗東)の姿

●市民主体のまちづくりネットワークの構築

 

 現在、栗東市は全国的に見ても珍しく人口が増加している地域であり、高齢化率も極めて低い状況にあります。その要因は、主に外部から流入してくる人々が増えている為であり、一概に栗東市民と言ってもそれぞれ異なる背景を持つ人々が多く、多種多様な価値観が存在しています。しかしながら、自らの価値観によって描くまちの理想の姿を実現する為に主体となって取組む人は多くありません。現状では多くの市民が画一化されたサービスを享受されるものであるとしか認識していないのです。私たち自身がこの青年会議所に入会する以前、そうであったように。

 

 より多くの市民にまちづくり運動に参画してもらうには、私たちから「価値観」や「テーマ」を与えるのではなく、市民の方々が主体性を持ち、自らが考え、他者と共有し、自らが決断し具体的な行動へと移す機会を作る事が重要です。我々と行動を共にする中で、その思いを感じてもらいまちづくりとは、自らの手で作り上げるものであるとの意識を高めて頂く必要があります。

 

 私たちの活動も少し視点を変えた取り組みをしていかなくてはいけません。市民に与えるだけの事業から、共に作り上げる事業が必要なのです。市民が主体性を持って取り組む経験、この機会を創造することによって、まちづくり運動への賛同者を一人でも多く創造することが市民主体のまちづくりネットワーク構築への大きな一歩となるのです。

 

 何も難しく考える必要はありません。まずは私たちの普段の活動に参画してもらい私たちの思いに接触してもらう機会を継続することが重要です。そして、そのような同志を受け入れる体制を整える必要があります。人とひとが交わればそこには新しいまちづくり運動の基盤ができるはずです。

 

 そのような基盤は、私たちにも大きな気づきを与えてくれるはずです。栗東青年会議所の会員は20歳から40歳までと限られています。異なる世代、そして異なる立場からの視点から生まれた価値観に気づく機会を創出してくれるのです。私たちはそこで触れた新しい価値観を基に、このまちの明るい豊かな将来を永続的に描いていく事が出来るのです。

 

 一方で、より大きな運動を展開していく為に欠かせないのが、既にこのまちで活躍している方々との連携です。地域毎で活動されている個人や団体、企業、そして行政などこのまちには、我々と同じ「まちを良くしたい」という思いを持つ人々が多く存在しています。ただ、無数に存在するこのまちの課題にそれぞれに特化した取り組みをされているが故に、普段の活動では接点を持つ機会がないのが現状です。それぞれ独自で展開されてきた運動を、それぞれの知識や経験を繋ぎあわせる架け橋となり、より大きな運動へと昇華させることが、今現在の々栗東青年会議所の役割なのです。

 

 青年会議所は市民意識変革団体です。まちづくりに興味を抱く、そしてまちづくりに取り組む人を増やす事自体が真のまちづくり運動であり、我々が架け橋となって市民が主体的になってまちづくりに取り組める基盤をつくり、様々な団体間を結びつける市民主体のネットワークが必要なのです。

●多くの市民を巻き込む、魅力ある組織の創造

 

多くの人を繋ぐ架け橋となるべく、まずは我々自身が青年会議所運動の意義を改めて理解し、体現していかなくてはいけません。栗東青年会議所は40年もの長きに亘り、「明るい豊かな社会の実現」という理念の下、様々な運動を展開してきました。我々の組織が今後も地域から必要とされ続けるためには、今よりも更にまちに対しての存在価値を高めていかなければなりません。

 

戦後の荒廃の中から経済再建の使命に燃えた先人達により創設された当初と比べ時代は随分と変わりました。しかし、設立当初のスローガンである「個人の修練、社会への奉仕、世界との友情」という三信条は今も何ら変わることなく我々の行動綱領として存在しておりその精神を引継いでいます。青年会議所がボランティア団体とは異なり、我々の運動がボランティア活動とは大きく異なる点がそこにあります。世代交代の中で本来失ってはいけない理念が希薄になってきていないでしょうか。なぜ、私たちの活動には厳格なルールが存在しているのでしょうか。なぜ、まちづくりに取り組むのか、なぜ会議の場があるのか。青年という、人生で最も大切な時期はそう長くありません。だからこそ、一瞬の時も無駄にすることなく自身の成長を常に意識しなくてはいけません。青年会議所だからこそ、他の団体にない学びの機会が多く存在しています。今、改めて私たち自身が能動的市民として模範とならなくてはいけません。活動を通して品格、知識並びに心得や価値を学ぶことの重要性を認識し、しっかりと市民に伝え牽引するリーダーとなることが重要です。

 

魅力ある効果的な市民意識変革運動を展開していく為には活動を共にする人財を継続して発掘していかなくてはいけません。まちづくりに関わる人を増やすことがまちづくり運動の根幹であり、拡大活動は最も重要で、まちづくり運動そのものなのです。メンバーが全員で取り組んでいかなくはなりません。新たな仲間を増やすことは新しい躍動感溢れる力を組織に与え活き活きとした組織を継続、維持しまちづくり運動を展開していくために欠かすことができません。また、新たな出会いにより我々の成長の機会にも繋がるのです。明確な目標を掲げメンバー全員で取り組む仕組みを確立しなくてはいけません。

 

我々の運動もより魅力を高めなくてはいけません。今後の運動を考える際には明確に「主体者」と「適切な課題」を決めておくことが必要不可欠です。主体者とは、事業の担い手であり運動を継続してくれる人のことです。残念ながら、青年会議所は同じ事業を継続していく事を念頭に置いた体制ではありません。しかしながら、一日だけの事業ではこのまちにとって本当の価値を生み出す事は困難です。だからこそ、計画段階において適切な「主体者」たる相応しい人や団体を選定し、「適切な課題」を見極めたうえで、どのようにその運動を継続させていくかを考えておかなくては我々の運動はこのまちにとって価値を生み出す物とはなりえないのです。

 

私たちが、これからも真のまちづくり団体としての青年会議所である為にも今一度、我々の運動を見つめ直し切磋琢磨する活動の中でこそ、多くの市民を巻き込むことができる、魅力ある組織が形成されるのです。

3.終わりに

 我々、栗東青年会議所は40年に亘り、時代に即したまちづくり運動に取り組んできました。その積み重ねがあったからこそ、今の市民に、まちに求められる団体という立場が確立されました。しかしながら、運動の形は変われど「明るい豊かなまちの創造」を目指すその精神性は何一つ変わることなく受け継がれてきたのです。

 

 そして現在活動する私たちは、不変の精神性をもう一度しっかりと引き継ぎながらも今(現在)に即したまちづくり運動の在り方を考えなくてはいけません。今回の策定は過去より連綿と引き継がれてきた歴史から生まれたCircle Link構想、そしてその検証報告書をもとに策定しました。変わらないために、変わる。現状を認識したうえで、私たちは新たな挑戦をしていかなくてはいけません。

 

 我が国の現状を見ると、高齢化、若年層人口の減少等これまでの在り方を変えていかなくてはならない大きな問題を抱えています。我がまちは幸い現時点においては人口が増加傾向にあります。しかし、そう遠くない将来、我々のまちにも同様の問題は大きく降りかかってきます。国はその対策として地域戦略において地域ごとの資源を活かした地域特有の戦略を求めています。もちろん主体となって戦略を立てるのは行政ですが、これから我々も含め、まちづくり団体の存在が試される時代へと変わってきています。今後何十年かのまちを見越した広い視点を持ち、市民の生活に影響を与える運動が求められる時代へと変化しているのです。そのような価値を生み出すことができる運動は我々だけでは成し得ることできません。行政、団体、企業そして市民が一体となって取り組むことが必要です。

 

 そのような時代の中で、市民や団体、企業、行政あらゆる人々を巻き込んでいけるのは青年会議所だけなのです。先人達が築いてきた40年の間に築いてきた信頼があります。人とひとをつなぐ運動が出来る土壌があります。それらを活かし、まちに効果的な運動をもたらす事が現在、我々に求められる地域リーダーとしての姿なのです。


この40年の歴史を胸に、新しい時代へと挑戦しよう

私たちだからできる、栗東(まち)を一つに

市民の活気に満ち溢れた栗東(まち)に

~Arch Joint 私たちが架け橋となって~